第107章 待ち伏せされた

「この二つのお年玉のお金は、お母さんが管理してあげるから、大きくなったら一緒に返してあげるわ」

そう言いながら、橋本奈奈の同意を得ることもなく、二つのお年玉を探り出そうとした。

「いりません。自分で管理します」奈奈はドジョウのように滑らかに、体をひねって伊藤佳代の手から逃れた。

お金を母親に渡したら、死ぬまでこのお金に触れることはできないだろう。それに、このお金には使い道があるのだ。

「お父さん、ご飯食べ終わったから、部屋に戻ります!」この家の雰囲気では、橋本絵里子と母親と一緒に春節晩会を見る気にもならなかった。

「どうぞ」橋本東祐も二言は言わなかった。せっかく四人家族で仲良く一緒にテレビを見られると思っていたが、その気持ちも伊藤佳代の先ほどの行動で完全に消え去ってしまった。