第080章 怠け者は虫が湧く

「お母さんとお姉ちゃんが付属高校に行ったの?何かあったの?保護者会?」この時期に保護者会があるなんて、ちょっと変だわ。橋本絵里子は中間テストが終わったばかりのはずなのに。

「よく分からないが、何か用事があるんだろう」と言いながら、橋本東祐の表情はとても良かった。

橋本奈奈は眉をひそめた。お父さんがこんな表情をするなんて、もしかして橋本絵里子が何か良いことをしたのかしら?

「絵里子の作文コンクールのことらしいよ。きっと良い知らせだろう」橋本東祐の笑みはさらに深くなった。「お姉ちゃんの最近の学業の進歩は目覚ましいものだ。奈奈、チャンスがあれば、可能性があれば、お父さんは必ず君も付属高校に通わせるように頑張るよ。これからは、お父さんは君とお姉ちゃんの成長を楽しみにしているよ」

息子がいなくたって構わない。自分の育てた娘たちは誰の息子よりも優秀なのだから、それが何より素晴らしいことだ。

「作文コンクール?」この言葉を聞いて、橋本奈奈は意味深な笑みを浮かべた。

もし橋本絵里子が中間テストで良い成績を取ったから保護者が呼ばれたのなら、それは間違いなく褒められるためだろう。

でも、今回の作文コンクールに関して言えば、自分の予想が間違っていなければ、今日お母さんが付属高校に呼ばれたのは、決して良いことではないはずだ。

橋本絵里子が優秀な成績を収めることは、お母さんにとって栄養剤を飲むよりも効果がある。

今回の付属高校行きは、きっとお母さんが自ら望んだことだろう。「お母さんが自分で行きたいって言ったの?お父さんは行かないの?」もしお父さんも一緒に行けば、事態はもっと面白くなるのに。

「まあ、これからチャンスはあるだろう」橋本東祐は無奈く首を振ったが、気分は悪くなかった。

学校から電話があり、橋本絵里子の保護者に来校を求められただけだった。本来なら橋本東祐は橋本絵里子を学校に送って、ついでに保護者呼び出しの件も確認しようと思っていた。

しかし伊藤佳代が先手を打った。伊藤佳代は橋本東祐に向かって直接言い放った。「あなた、最初から決めたでしょう。絵里子のことは私が担当して、奈奈のことはあなたが担当するって。絵里子が良い成績を収めたなら、今回の付属高校行きは当然私が行くわ。あなたが行きたいなら、奈奈の番を待ちなさいよ」