「絵里子が奈奈の作文を写したことについて、絵里子の行動は正しいと思うの?絵里子に本当の実力があるなら、なぜ自分で書かずに写すの?奈奈が自分の作文を書くのを怠けていると言うなら、絵里子が奈奈の作文を写したのは一体何なの?」橋本東祐の頭は今まさに糊のようにグチャグチャになっていた。
長女が次女の作文を写し、しかもあと少しで入賞するところだった。
このようなニュースを聞いて、橋本東祐は喜ぶべきか怒るべきか分からなかった。
喜ばしいのは、次女の作文が高校でも入賞できるレベルだということ。そうなら今回の中学校のコンテストで、同じ作文が賞を逃すはずがない。
しかし橋本東祐を怒らせたのは、長女が次女の作文を写して警告処分を受けたこと、特に長女のこのような行為があまりにも醜かったことだ。
姉が妹の作文を写すなんて、橋本東祐は自分の怒りを抑えなければ、本当に長女に「恥を知れ」と言いたかった。
しかし妻が帰宅するなり次女を責め立てたので、橋本東祐は次女の代わりに腹が立った。
長女が次女の作文を写して見つかったのに、次女を責めるなんて、長女が写したのに正当化できるのか?
「どうしたの、絵里子は作文の本をたくさん買ったじゃない、それは'勉強'のためでしょう。勉強って何?写すのとほとんど同じじゃない。それに、これは私たちの家の作文なのよ。もし彼女が書かなければ、この作文が絵里子のものじゃないなんて誰も知らなかったはず。全部彼女のせいよ。」
この時の伊藤佳代は、学校で泣いて目を真っ赤にした橋本絵里子に完全に洗脳されていた。天下の文章は皆写しものだという言葉を信じ切っていた。
それに、家族のものなのだから、それを写すと言えるのか。せいぜい橋本絵里子が借りて使っただけだ。
橋本奈奈がこの作文を書かずに、新しく書き直せば何も問題なかったのではないか?
「誰がそんなことを言ったんだ。お前の言葉は恥知らずにも堂々としているな。田中さん、本当に恥知らずなのか、それとも演技なのか?」橋本東祐は顔を怒らせた。「誰がこれは家族のものだと言った?これは奈奈の作文だ、奈奈自身のものだ!奈奈のものを絵里子が好きに取って、好きに使っていいのか?誰がそんなことを言った?!奈奈のものは奈奈のものだ。家族のものという考えはない。」