第082章 絶対に妥協しない

「そんなはずがない」橋本東祐は否定した。彼は田中さんのように愚かではない。「でも奈奈、わかってほしいんだ。家庭円満が何より大切だ。お母さんの性格は君もよく知っているだろう。お母さんに頭を下げさせるわけにはいかないだろう?」

家族なのだから、毎日喧嘩ばかりしていてはいけない。そんな生活ができるはずがない。

「お母さんが間違っていても、私が従って、全部お母さんの言うとおりにして、お母さんを喜ばせないといけないの?」前世でそうしていたのに、お父さんだって喜んでいなかったじゃない。

「お母さんの言うことに従えとは言っていないんだが...」橋本東祐は頭を抱えた。奈奈が田中さんの言うことを全て聞いていたら、この家はもっと混乱するだろう。

「じゃあ、お父さんは私にどうしてほしいの?さっきお母さんは私が怠け者だと言って、お姉ちゃんのために写させるべきだと言ったけど、私は何も言わなかったよ。お父さん、私のどこがまだお母さんに従っていないの?直すべきところがあるなら言って、直すから?」橋本奈奈は異常なほど冷静に、この年齢らしくない落ち着きを持って橋本東祐に尋ねた。