第083章 別の方法で説得する

伊藤佳代が部屋を出るとすぐに、橋本奈奈は深いため息をついた。本当に危なかった。

今日、木下おじいさんは彼女が作文コンテストに参加したことを知って、ちょうど作文を置いていくように言った。木下おじいさんが自分の作文ノートを持っている理由は分からないが、橋本奈奈はそれほど気にしていなかった。

どんなことがあっても、木下おじいさんは母親のように、彼女の作文を他人に写させたり、しかも原作者である彼女自身に使わせないようなことはしないだろう。

母の考えは本当におかしくなってきている。前世で彼女が車にはねられた時、母が喜んで「絵里子の治療費が手に入った、腎臓も手に入った」と言ったのも無理はない。

橋本東祐に部屋に連れ戻された後、伊藤佳代は橋本東祐に怒鳴った。「橋本さん、あなたバカなの?私たちが絵里子にお金を渡して作文の本を買わせるより、直接奈奈の作文を見せた方がいいじゃない。」