第084章 先生に告げ口

「授業の前に、みなさんにお知らせがあります」朝の自習時間に、田中先生は元気よく教壇に立って言いました。「先日、学校から五人の生徒が作文コンクールに参加しましたが、嬉しいことに、その中の二人が入賞しました。一人は三位、もう一人は一位です。三位の生徒は他のクラスの生徒ですが、一位の生徒は私たちのクラスの生徒なんですよ!」

田中先生は木下先生と同じように喜んでいました。作文コンクールで一位を取る生徒を教えることができたのは、とても誇らしいことでした。

もちろん、橋本奈奈が数学コンクールで賞を取っていたら、田中先生はもっと誇らしく思ったことでしょう。

「一位?!誰だろう?」

「うちのクラスからは井上雨子さんしか作文コンクールに参加してないよ。絶対井上雨子さんだよ」

「すごい!井上雨子さんってめちゃくちゃ凄いじゃん。作文コンクール一位って、学校の国語のテストで一位取るよりも難しいのに。全然気付かなかった」