第097章 人間の"凶"器

以前の噂は別として、白洲隆の命を救い、作文コンクールで一位を取り、そして今では学年一位となった橋本奈奈は、二位との差を驚異的な16点もつけていた。

そして、学年三位と二位の差はわずか0.5点だった。

なんてことだ、これはどういう点差なんだ。橋本奈奈は恐ろしすぎる、彼女は本当に地球の人間なのか?

橋本奈奈と白洲隆にとっては良い年になりそうだが、他の人たちにとっては、以前ほど期待できる年にはならなさそうだった。

多くの人の成績はあまり良くなく、本来なら試験が難しかったとか、多くの生徒が実力を発揮できなかったと言い訳できたはずだった。

しかし、橋本奈奈の成績と比べると、そんな言い訳は口に出せなくなってしまった。

橋本奈奈は別として、この白洲隆は一体どういうことだ。もともと成績の悪い落ちこぼれだったのに、今や順位は100位以内に入り、優秀な生徒への道を突き進んでいる。

誰か教えてくれないだろうか。どうやったら落ちこぼれが半年ちょっとの間に優秀な生徒に変われるのか。

みんなもそうなりたいのに!

「聞いたんだけど、橋本奈奈が白洲隆に補習をしているらしいわ。白洲隆の成績、もしかして橋本奈奈のおかげじゃない?」

「そんなはずないでしょう。たくさんの先生が教えても白洲隆は分からなかったのに、橋本奈奈一人が学校の先生より上手く教えられるわけないわ。信じられない。」

言う方に意図はなかったが、聞いた方には意図があった。

近くにいた1組の生徒たちは、この議論を聞いて密かに考えを巡らせていた。

もしそれが本当なら、1組の生徒として、立場を利用して橋本奈奈から学ぶチャンスがあるのではないか。

白洲隆のようにロケットのように成績が上がらなくても、せめてエレベーターくらいの速さで上がれればいいのに。

クラスで最も輝かしくも最も静かだった橋本奈奈の周りは、今や異常なほど賑わっていた。人々が集まってきて:「橋本奈奈、この問題を見てくれない?試験で出たんだけど、今でもよく分からないんだ。」

「見てみましょう。」橋本奈奈は問題を受け取り、黙々と問題の解き方を明確に、完璧に書き出した。文字は特に綺麗で、まるで橋本奈奈の顔のように美しかった。