来訪者が完全な他人ではないと確認してから、橋本奈奈はようやく家の扉を開けた。「あの...」目の前の男性を見て、奈奈は一瞬躊躇した。「白洲長官?」
「よければ、白洲おじさんと呼んでくれていいよ」白洲成木は奈奈を密かに観察しながら言った。「中に入って話してもいいかな?」
白洲成木は部隊から戻ったばかりで、軍服をまだ着替えていなかった。厳格で硬い軍服は、彼に近寄りがたい冷たい雰囲気を醸し出していた。
「どうぞ」おじさんと呼ぶのは少し気が引けた奈奈は「今日は何かご用でしょうか?」と尋ねた。
「隆のことについて、私は全て知っている。まず、父親として、隆を良い方向に導いてくれたことに感謝したい。中学受験の件についても、私は既に真相を把握している」白洲成木は姿勢正しく座り、その態度は周りの人も思わず背筋を伸ばしてしまうほどだった。