第155章 これは爆弾だ

病人の言葉に、橋本東祐は一瞬戸惑い、すぐに深い思考に沈んだ。

しばらくして、橋本東祐は橋本奈奈に向かって尋ねた。「奈奈、これらの文章、本当に理解できるのか?」

「だいたいわかります」と翻訳作業に没頭していた橋本奈奈は顔を上げることなく、全文を丁寧に読み通し、意味を八、九割ほど理解してから、心の中で何度も下書きを重ね、言葉をおおまかにまとめ、最後に日本語に翻訳し始めた。

橋本奈奈の真剣な様子に、橋本東祐と病人は会話を止め、静かに見守っていた。病室には橋本奈奈が時々紙をめくる音と、ペンが紙の上を走る音だけが響いていた。

橋本奈奈が一枚の紙いっぱいに書き終えたのは、それから二時間後のことだった。

橋本東祐と病人も不思議そうに橋本奈奈を見つめ、誰も退屈さを感じなかった。