第132章 奨学金

「まだ二十一歳だよ、若いもんだ」と斎藤のお父さんは顔も上げずに言った。今は軽く言えるが、四年後、斎藤昇が二十五歳になっても彼女一人できていない時には、今のように落ち着いていられなくなるだろう。

一方、木下おじいさんが調べた成績は間違いなかった。

学校に成績を取りに行った時、橋本奈奈は校門に着いたところで、真っ赤な横断幕が掲げられているのを見た。そこには「祝!本校の橋本奈奈さん、県内トップの成績を収める!」と書かれていた。

「木下先生」国語の先生を見かけた橋本奈奈は、まず丁寧に挨拶をした。

木下先生は愛弟子の橋本奈奈を見て、顔が赤くなったり青ざめたりして、まるでパレットのようだった。それを見た橋本奈奈は不思議に思った。「木下先生、今日は体調が悪いんですか?休んだ方がいいんじゃないですか」