第159章 親戚になりましょう

「好きですよ、どうして好きじゃないことがありますか。奈奈ちゃんのような素直で聞き分けのいい子、本当に大好きです。うちの夫は性急な性格ですが、今回のことは、私はとても良いと思います」病室の友人の妻は非常に協力的で、夫の言葉に大いに賛同し、熱心に橋本東祐を見つめ、承諾してくれることを願っていた。

病室の友人夫婦の熱い視線に、橋本東祐は苦笑するしかなかった。

もしこの話を他人が聞いたら、事情を知らない人は、まるで娘を売り飛ばすような話だと思うだろう。

「手塚お兄さん、それは無理です」橋本東祐は首を振った。「この件は、私には決められません。この数日間、うちの状況もご覧になったでしょう。うちの妻は物事の分別がつかない人間で、父親の私には力がなく、奈奈に多くの苦労と損をさせてしまいました。それに、奈奈の一生の大事なことですし、何より奈奈はまだ小さいんです。今は昔の地主の時代じゃありませんから、子供の結婚相手を親が決めるようなことはできません。私の要求は高くありません。ただ将来、奈奈が好きで大切にしてくれる人と、そして奈奈自身も好きな人と結婚できればと思っています」

言い終わって、橋本東祐は苦笑しながら首を振った。

本当に手塚夫婦に変な方向に連れて行かれてしまった。

橋本東祐のこの病室の友人、手塚剛は橋本東祐とは違って、橋本東祐には二人の娘がいるのに対し、手塚家には三人の息子がいるのだ!

手塚剛の末っ子は手塚勇といい、軍人で、今年二十三歳、橋本奈奈より丸七つ年上だった。

手塚夫婦は息子たちを愛してはいたが、息子が多すぎると悩みの種にもなる。あまりにも腕白すぎるので、娘が欲しいとも思っていた。

しかし三人目も息子だった。

その後、国が計画出産を提唱し始めたため、手塚夫婦も娘を産む希望を諦めた。

手塚剛の長男と次男はすでに結婚し、子供たちも走り回るようになって、おじいちゃん、おばあちゃんと呼べるようになっていたが、この末っ子だけはまだ独り身で、手塚夫婦は心配で仕方がなく、この末っ子にどんな嫁を見つけようかと考えていた。

末っ子は軍人で、手塚夫婦は一年中ほとんど息子に会えず、人の娘を息子の嫁にもらうことについて、実は手塚夫婦も少し心苦しく感じていた。将来の嫁は、上の二人の嫁よりもずっと多くの苦労や辛い思いをすることになるだろうと。