「好きですよ、どうして好きじゃないことがありますか。奈奈ちゃんのような素直で聞き分けのいい子、本当に大好きです。うちの夫は性急な性格ですが、今回のことは、私はとても良いと思います」病室の友人の妻は非常に協力的で、夫の言葉に大いに賛同し、熱心に橋本東祐を見つめ、承諾してくれることを願っていた。
病室の友人夫婦の熱い視線に、橋本東祐は苦笑するしかなかった。
もしこの話を他人が聞いたら、事情を知らない人は、まるで娘を売り飛ばすような話だと思うだろう。
「手塚お兄さん、それは無理です」橋本東祐は首を振った。「この件は、私には決められません。この数日間、うちの状況もご覧になったでしょう。うちの妻は物事の分別がつかない人間で、父親の私には力がなく、奈奈に多くの苦労と損をさせてしまいました。それに、奈奈の一生の大事なことですし、何より奈奈はまだ小さいんです。今は昔の地主の時代じゃありませんから、子供の結婚相手を親が決めるようなことはできません。私の要求は高くありません。ただ将来、奈奈が好きで大切にしてくれる人と、そして奈奈自身も好きな人と結婚できればと思っています」