第171章 やっぱり頼りにならない

岡本茜の顔がわずかに強張り、すぐに自然な表情に戻すと、寛容で優しい笑顔を浮かべた。「聞いたところによると...学校では英語が得意だったそうですね。分からないところがあれば、私に聞いてください。もちろん、私が間違っているところがあれば、指摘してくださって構いません。」

「お嬢ちゃん、聞いたでしょう?遠慮なく、思ったことを言ってください。」林康弘は頷きながら、橋本奈奈にペンを渡した。

橋本奈奈は眉を上げ、斎藤昇の方を見た。斎藤昇が頷いたのを確認してから、林康弘からペンを受け取り、黙々と書き始めた。

およそ15分ほどかけて、橋本奈奈は岡本茜が林康弘に渡した資料の最初のページを読み、多くの書き込みをした後、資料を林康弘に返した。「多すぎて、全部は見られません。」

最初の1枚を見るだけで十分だった。

「おや、もう1枚終わったのかい?」林康弘は首を縮め、顎を引きながら、白い紙に書かれた細かい文字をはっきりと見ることができなかった。

林康弘は何も言わず、目は依然として橋本奈奈が修正した資料を見つめたまま、右手はまるで別の目を持っているかのように素早く正確に机の右側の二段目の引き出しを開け、老眼鏡のケースを取り出し、中から老眼鏡を取って顔にかけた。

岡本茜は驚いた。林おじいさんは老眼鏡が見つからないと言っていたはずなのに。

「...」橋本奈奈は口の端を歪め、このおじいさんが全く当てにならないと前から言っていた通りだった。

「なかなかいいね。」今回の林康弘は橋本奈奈がその場で修正した資料を自分の目で確認し、しかもその資料は岡本茜が持ってきたものだったので、不正の可能性は全くなかった。

橋本奈奈の実力に、林康弘は非常に満足した。「岡本家のお嬢ちゃん、あなたも見てみなさい。」

見終わった後、林康弘は資料を岡本茜に返した。

岡本茜は唇を引き締め、顔には薄い霜が降りたような冷たさが漂っていた。

彼女には信じられなかった。高校に入ったばかりの高校生の英語が、大学の外国語学部の優等生である自分より優れているなんて。

しかし岡本茜がその白い紙に突然追加された単語や文法を見たとき、完全に呆然としてしまった。

岡本茜の最初の反応は、橋本奈奈が書いた内容が正しいか間違っているかを確認することではなく、橋本奈奈の見事な筆跡に驚かされたことだった。