第187章 これは知人の犯行

「なんと六千円も!!」伊藤佳代が封筒の中の千円札を一枚一枚数えて六千円になったとき、目を輝かせ、喜びと怒りが入り混じった様子で言った。「奈奈はまだ子供なのに、お金を隠すなんて、本当に目に余る。橋本さんが奈奈を甘やかしているからこそ、このお金だけでも、あの子を懲らしめてやりたいところよ。まだ若いくせに、こんなに私欲が強いなんて、全く橋本家の人間として考えていないわ、ずるがしこいったらありゃしない!」

意外だわ、あの子にはそんな手があったなんて。前に橋本さんの医療費を借りてきただけでなく、今度は六千円も持って帰ってきたなんて。

このままじゃダメだわ、奈奈にもっとお金を稼がせないと。そうすれば、絵里子が大学に行っても心配することはないわ。

前から言っているように、あの子があんなに勉強したって意味ないのよ。さっさと社会に出て働いて、お金を稼いだ方が、この家の暮らしが楽になるのに。でも橋本さんは私の言うことを聞かないんだから。