第189章 本当に5000円の価値もない人だ

事態がここまで発展し、伊藤佳代も怯えて取り乱していた。「警察官、ちょっと来ていただけませんか。お話ししたいことがあります。」外に集まっている近所の人々のことを考え、警察に言おうとしていることを思うと、伊藤佳代は顔を赤らめ、警察官の前で顔を上げることもできなかった。

「話があるなら、ここで言ってください。」公平な警察官は伊藤佳代のこのような態度を好まず、直接話すように促した。

「警察官、申し上げたいのは、うちのお金は盗まれていません。誤解です、全て誤解なんです。私の娘のお金は盗まれていません。私が、私が取ったんです、本当に。申し訳ありません、ご迷惑をおかけして。うちの子供が物分かりが悪くて、騒ぎ立てて。謝らせます。」

間違っていたのは明らかに伊藤佳代なのに、この時になって橋本奈奈を盾にして、全ての責任を橋本奈奈に押し付けようとした。

「何ですって、あなたが取ったんですか？本当ですか？」警察官は疑わしげに伊藤佳代を見つめた。「言っておきますが、私たちの前で嘘をつくのは虚偽の供述になり、法的責任を問われることになります。もしかして、誰が娘さんのお金を取ったか知っていて、その泥棒をかばうために、わざとそう言っているんじゃないですか？」

「そんなことありません、本当です。そのお金は私が持っています。なくなってなどいません。」

「あなたは娘さんのお金を、娘さんにも夫にも言わずに、勝手に取ったんですか？」家族の誰も伊藤佳代がお金を取ったことを知らなかったことを考えると、警察官は不審に思った。

「娘はまだ小さいですし、そんなにたくさんのお金を持っていると無駄遣いするかもしれないので、私は、私は一時的に預かっただけなんです。まさかこの子がお金に目がくらんで、こんなにご迷惑をおかけするとは。申し訳ありません、子供の教育が足りませんでした。警察官、ご安心ください。後で、必ず子供たちをしっかり教育いたします。」

「おかしいですね。娘さんが稼いだお金は借金を返すためだと聞きましたが、どうして使い込むことができるんですか？」警察官は眉をひそめた。「こちらの方、ちょっと来てください。ご家族四人で、このお金が本当になくなったのかどうか、はっきりさせましょう。」