「おい、何者だ?正門の真ん中に立ちはだかって、しかも耳が遠いのか?」
「耳が遠いのはあんたの方だ!」間違いなく聞き間違えではないと確信した井上雨子は怒って振り向いた。「手塚昭、なんで平泉高校にいるの?付属高校に行くはずじゃなかったの?」
彼女の記憶では、手塚昭は前回の高校入試でかなりいい成績を取って、付属高校に行けるはずだった。
「俺がどこで勉強するかは俺の自由だ。平泉高校はいい学校だと思ったから来たんだ。お前に関係ないだろ」手塚昭も怒って言い返した。「それより、お前の家は金持ちなんだろ?なんで親に金を出してもらって付属高校に行かなかったんだ?」
井上雨子とは3年間同じクラスで、3年間隣の席だった。
高校に入ったら彼女と同級生にならなくて済むと思っていたのに、まさか井上雨子も平泉高校に来るとは。頭がおかしくなったのか?