第202章 あなたは怖くないけど、私は怖い

橋本奈奈がこの場所をこんなにも隠しているということは、この場所に何か秘密があるに違いないと彼女は確信していた。

「絵里子、一体何をしようとしているの?」伊藤佳代は橋本絵里子を理解できない様子で見つめた。「この場所を知って、どうするつもり?橋本奈奈のあの子は去年から本当に厄介になってきているわ。余計なことはしない方がいいわ。いつも奈奈に勝てないばかりか、私たちが損をすることになるのよ。」

橋本絵里子は怖がらなかったが、伊藤佳代は少し怖くなっていた。

彼女は橋本東祐と結婚して何年も経つが、口論がなかったわけではないものの、先日のようなことは一度もなかった。目が赤くなるほど喧嘩をし、橋本東祐は彼女を平手打ちまでした。

何か気に入らないことがあると妻を殴って憂さ晴らしをする他の男たちと比べると、橋本東祐はずっと良い夫だった。