第205章 クラスの異端児

戸川義則は教室を見回し、橋本奈奈と白洲隆を見つけた。「君が橋本奈奈さんですね?」

「はい、先生」

「ああ、じゃあ君が白洲隆くんだね?」戸川義則は奈奈の隣にいる男子生徒を見た。

「はい」彼以外に誰が奈奈さんの隣に座る勇気があるというのか。誰かが座ろうものなら、その足を切り落としてやる!

「よし、じゃあ君たち二人はそこに座っていなさい。他の生徒は教室の外に並んで、名前を呼ばれたら一人ずつ入ってきなさい。席を指定しますから」戸川義則は名簿を手に持ち、教壇に立って指示を出し始めた。

下の生徒たちは顔を見合わせた。この橋本奈奈という生徒と白洲隆がこんなにも堂々と恋愛関係を見せびらかしているのに、担任は何も言わないのか?平泉高校は恋愛に厳しく、絶対に許さないと聞いていたはずなのに。

これは一体どういうことなのか?

普通のクラスでは許されないことが、1組で起きているのに、担任は何も言わず、反応すらなく、当たり前のような態度。これは……

他の生徒たちが理解できようができまいが、初日から担任の機嫌を損ねたい者はいなかった。そのため全員が大人しく立ち上がり、教室の外の廊下に並び始めた。担任が二人ずつ名前を呼び、名前を呼ばれた生徒は教室に入り、担任が指示した席に着いた。

戸川義則はベテランの担任教師で、わずか5分で生徒たちの身長に合わせて全ての席を配置した。「はい、今日からこれがみんなの席です。間違えないように。次に、クラス委員の件について説明します。名前を呼ばれた人は自分の役職を覚えて、すぐに仕事を始めてください。みんな優秀な生徒だと信じていますし、仕事の効率も期待しています。忘れないでください、私たちは1組です。高校1年生の模範となるべきクラスです。わかりましたか?」

「はい、戸川先生」

「よろしい……」その後、戸川義則は名前と役職を次々と素早く明確に読み上げた。「以上が大まかな状況です。クラス委員は全員、できるだけ早く、クラスの状況を整えてください。では班長、教科書を取りに行きなさい。急いで」

「はい、戸川先生」新任の班長は顔を赤らめた。戸川先生がこんなにテキパキとした人だとは思っていなかった。自分が1組の班長になったことを知ったばかりなのに、もう仕事が始まっている。「男子数人、教科書を運びに来てください」