第206話 偏見を捨てる

「ふん!」河野雲見は鼻を鳴らした。その言葉はどういう意味なのか、彼女たちがいじめを楽しんでいると思っているのか?

「もういいわ、黙って」橋本奈奈は額に手を当てた。白洲隆のその言葉は、彼女に恨みを買わせすぎる。

白洲隆は橋本奈奈に二度も恨みを買わせ、寮に向かう時には誰も橋本奈奈と一緒に歩こうとせず、みんな彼女から遠ざかり、話しかける人もいなかった。

普通のお嬢ちゃんならこんな目に遭えば、きっと悔しくて自信をなくし、これからの三年間の生活も大変で、勉強もどうなることか分からない。橋本奈奈は改めて、自分が本当の十六歳の子供ではないことに感謝した。前世の同じ時期、彼女は普通の人よりもっと敏感だったのだから。

寮に着くと、橋本奈奈は自分のベッドと荷物を見つけ、すぐに服を箱に入れ、小さな鍵をかけた。