第207章 関係が良好になる

橋本奈奈は一瞬戸惑い、生活委員の戸村琴が言った「そういう関係」がどういう関係なのか理解できなかった。戸村琴の顔に浮かんだ少し意味深な笑みを見て、やっと理解した。「考えすぎよ。白洲隆は私を妹のように思ってるだけ」

もちろん、彼女は白洲隆を息子のように思っているのだが……

「妹?親戚関係なの?」寮長の唐澤夢子は目を瞬かせた。「白洲隆とは全然似てないけど、従姉妹?それとも遠い親戚?」

「違うの。こういうことなの。私の祖父と白洲隆の外祖父が親しい間柄だったの。祖父が亡くなった後、白洲隆の外祖父が私の父と私たち家族の面倒を見てくれて。本当の関係は祖父の世代までさかのぼるわ」従姉妹でも遠い親戚でもないが、この好奇心旺盛な若者たちに説明しないと、彼女と白洲隆の早恋の噂が平泉高校中に広まってしまうかもしれない。

「へぇ、そんなに親しい間柄だったんだ」確かに、二家の関係が祖父の世代からあると聞くと、世交という説明に納得したようで、寮の仲間たちの橋本奈奈と白洲隆の関係についての目つきや表情が自然になった。

「私たち、誤解してた。ごめんね、橋本奈奈」平泉高校に入学できる優秀な生徒として、成績の悪い生徒や生活態度の乱れている生徒を多少軽蔑する気持ちがあった。

「気にしないで。誤解だと分かってくれれば十分」橋本奈奈は優しく首を振り、食堂に入ると食券を持って配膳に向かった。

同じ寮の仲間が一緒に食事をするのは珍しくない光景だった。

六人のお嬢ちゃんが一緒に座り、食事の時間でさえ、誰かが話を始めずにはいられなかった。「橋本奈奈、一つ聞いていい?」話しかけたのはクラスの団支部書記の三浦玲子だった。

「どうぞ」

「中学校の成績一位だったよね?どうして付属高校に行かなかったの?」成績順で考えても、付属高校が真っ先に橋本奈奈を合格させるはずで、他の生徒の番が回ってくるはずだった。橋本奈奈が平泉高校に入学するとは誰も予想していなかった。

三浦玲子は高校1年1組で橋本奈奈の名前を見たとき、この橋本奈奈は中学校の成績一位だった橋本奈奈と同姓同名だと思っていた。

「付属高校は学費が高いの。私の家には私だけじゃなくて、実の姉もいて、もう付属高校に通ってるの。それに私は中学校も平泉中学校だったし」学費免除されているのは隠せない事実で、橋本奈奈は家庭の事情を素直に認めた。