家では魔王だった白洲隆が、橋本奈奈の前では不思議なことにいい子のように素直で、罰も文句も受け入れ、彼女の言うことなら何でも聞くのだった。
そのため、白洲隆の教育に関しては、橋本奈奈が白洲家と木下家の人々の中で第一候補となっていた。
警告を受けた白洲隆は、さすがに口答えをする勇気もなくなり、真面目にペンを取って問題を解き始めた。
軍事訓練の話で市場のように騒がしかった教室は、橋本奈奈と白洲隆のこの行動によって、突然静かになった。
多くの生徒が呆然と橋本奈奈を見つめていた。入学初日からこんなに真面目なのか?橋本奈奈があまりにも真面目すぎて、自分たちが不真面目に見えてしまう。
「見せびらかしね。まるで自分が中学校の一位だってことを知らせたがってるみたい。見え透いた演技よ」橋本奈奈の一存でクラスの雰囲気が変わってしまったことに、井上雨子は特に気分が悪かった。