「言うなら言えばいいじゃない。ぐずぐずしないで。手塚教官がもうすぐ来るわ」橋本奈奈は手を引っ込めた。「いいわ、何か言いたいことがあるなら、言って。聞いているわ」
「橋本さん、あなたたちの寮にはまだ二つ空きがあるはずよ。私、あなたたちの寮に引っ越したいんだけど、どう?」
「寮を変えたいって?それも私たちの寮に?」橋本奈奈は眉を上げた。「あなたが言い間違えたの?それとも私の聞き間違い?」橋本奈奈は一瞥して、白井照子が井上雨子を睨んでいるのを見て、午前中の出来事を思い出して理解した。「寮を変えたいなら、私には決める権限はないわ。戸川先生と相談してみて。私に聞いても無駄よ」
「じゃあ、あなたは賛成?もし賛成なら、一緒に戸川先生に話しに行ってくれない?先生はきっと承諾してくれるわ」橋本奈奈は高校入試の一位で、さらに1組の首席だった。橋本奈奈が話せば、戸川先生はきっと同意するはずだ。