井上雨子は思いもよらなかったが、高校に入学してから白井照子のような人に出会うことになり、泣きそうになるほど腹が立った。「教官、私は違います。さっき出ようとしたんですが、白井照子が止めたんです。白井照子が、人が多すぎて覚えられないだろうと言ったんです。私は関係ありません。」
彼女は白井照子たちがこんなに陰険な人たちだとは思わなかった。白井照子を友達だと思っていたのに。
「誰が誰を教えたかは関係ない。お前たち四人は遅刻しただけでなく、認めようともしない。だから走れ、10周だ。もたもたしていたら15周に増やすぞ!」手塚勇は井上雨子と白井照子のどちらが本当のことを言っているのか確かめる必要もなかった。
「はい、手塚教官。」井上雨子は鼻をすすった。白井照子には二人の味方がいて、自分と白井照子は1対3だった。だから井上雨子は分かっていた。手塚教官が白井照子たち三人の言葉を聞かずに、すべての責任を自分のせいにして罰を重くしなかったことは、むしろ良かったと。10周なら、どうにか走り切れる。15周よりはましだ。