実際、豆腐のように布団を畳む方法は、橋本奈奈は斎藤昇に教えてもらう必要はありませんでした。橋本家には橋本東祐がいて、二人の娘がまだ小さい頃から教えていたからです。
橋本絵里子は覚えられませんでしたが、橋本奈奈はずっと豆腐のように布団を畳んでいたので、この課題は彼女にとって朝飯前でした。
「わぁ、早いね」三浦玲子は目を瞬かせて「簡単なの?」と、橋本奈奈がふわふわの布団を四角く畳むのを見ていました。
「よくできました。これから自分の部屋に戻って試してみてください。30分後に、寮室ごとに点検に回ります」
今回の軍事訓練での布団の畳み方指導では、教官のデモンストレーションのために各寮室から一組の布団を持ってくることになっていました。
明らかに、橋本奈奈の寮室は橋本奈奈の布団を持ってきており、白井照子の寮室は白井照子が代表でしたが、他にもいくつかの寮室が布団を持ってきていたのに、最終的に橋本奈奈の布団だけが畳まれました。
他の寮室の代表たちは呆然としました。これで終わり?
呆然とした他の寮室の代表たちは、布団を持ってきたときと同じように、そのまま寮室に持ち帰りました。
「奈奈、あなた幸せよね。布団が斎藤教官に畳まれるなんて。この一年布団洗わないでしょう?」寮室に戻ると、唐澤夢子は橋本奈奈の布団を羨ましそうに見つめました。こんな特典があるとわかっていれば、怠けずに自分の布団を持ってくるべきだったと。
「なんで洗わないの?当然洗わないと」橋本奈奈は理解できませんでした。
「だって斎藤教官が畳んだ布団よ。きっとまだ教官の体温と匂いが残ってるわ。奈奈、あなた本当に幸せね!この布団の中も外も全部斎藤教官が触れたのよ。ベッドに横たわって、この布団を掛けたら、まるで斎藤教官に抱きしめられているような感じがするんじゃない?」唐澤夢子はその布団を聖物を見るような目で見つめ、気持ち悪いほど熱く語りました。
「寮長、小説読みすぎじゃない?想像力が豊かすぎるわよ!」それまで何とも思っていなかった橋本奈奈は、唐澤夢子の描写を聞いて自分の布団を見ると、どう見ても違和感を感じました。
特に橋本奈奈は寝るときにあまり服を着たがらない方でした。