実際、豆腐のように布団を畳む方法は、橋本奈奈は斎藤昇に教えてもらう必要はありませんでした。橋本家には橋本東祐がいて、二人の娘がまだ小さい頃から教えていたからです。
橋本絵里子は覚えられませんでしたが、橋本奈奈はずっと豆腐のように布団を畳んでいたので、この課題は彼女にとって朝飯前でした。
「わぁ、早いね」三浦玲子は目を瞬かせて「簡単なの?」と、橋本奈奈がふわふわの布団を四角く畳むのを見ていました。
「よくできました。これから自分の部屋に戻って試してみてください。30分後に、寮室ごとに点検に回ります」
今回の軍事訓練での布団の畳み方指導では、教官のデモンストレーションのために各寮室から一組の布団を持ってくることになっていました。
明らかに、橋本奈奈の寮室は橋本奈奈の布団を持ってきており、白井照子の寮室は白井照子が代表でしたが、他にもいくつかの寮室が布団を持ってきていたのに、最終的に橋本奈奈の布団だけが畳まれました。