第242章 もう変われない

「やはり噂に聞くより実物の方が悪いな」来客は客だというのに、この態度はあまりにも失礼すぎる。橋本さんが娶ったこの女は噂以上に理不尽で、人としての最も基本的な道理や礼儀すら分からないようだ。

「吉田さん、申し訳ない、待たせてしまって」声を聞いて出てきた橋本東祐は伊藤佳代を冷たく一瞥してから、荷物を吉田さんの三輪車に積み始めた。「わざわざ来てもらって、ご苦労様です」

「いやいや、大したことじゃない、手伝うよ」吉田さんは三輪車から降りて、橋本家の方へ歩いていった。「これだけ?」荷物がこんなに少ないのか。

「ああ、これだけだ」

「じゃあ、橋本さん、休んでいてください。この程度なら私一人で運べますから。奈奈ちゃんは?」

吉田さんが言い終わるか否か、橋本奈奈がカバンを背負って部屋から出てきた。「おじさん、こんにちは」