第256章 好まれない辛い魚

橋本奈奈は起き上がって言った。「お父さん、お腹すいた。いつ食べられるの?」

「すぐだよ、今から魚の準備をするから。」奈奈がお腹を空かせていると聞いた橋本東祐は、伊藤佳代のことは気にせず、新鮮な唐辛子を持って台所へ向かった。

「ちょっと待って、私がやりますから。」伊藤佳代は腹立たしげに橋本奈奈を一瞥した。奈奈のこの態度から、もう二度と口を開かないことは明らかだった。今日こそ、キグチに大量の唐辛子を入れようと決意を固めた。

伊藤佳代が奈奈を睨みつけた時、奈奈はすでに本を読むために俯いていた。

伊藤佳代が立ち去ってから、奈奈は本を下ろした。あの母親のような人は、相手にすればするほど調子に乗るのだ。

「奈奈、やっぱり私より早く帰ってきたんだね。」かばんを背負って学校から帰ってきた橋本絵里子は、橋本東祐が借りている場所まで来るのに、以前より30分以上多くの時間がかかった。