第258章 奈奈の"ため

「男の人って女の人のそういうことを気にするものよ。もしあなたがそうなってしまったら、将来いい夫を見つけるのは難しくなるわ」

お金持ちや地位のある家の子供が、中古品を欲しがるはずがない。

「お母さん、何を言ってるの?私がそんな軽はずみな、自分を大切にしない人だと思う?」橋本絵里子は顔を赤らめた。確かに学校では多くの男子が彼女を追いかけ、触ろうとする者もいたが、彼女はバカじゃない。そんな人に初めての経験を捧げるわけがない。頭がおかしくなったわけじゃないのだから。

「お母さん、今はどんな時代だと思ってるの……」

橋本絵里子が説明しようとしたが、伊藤佳代に遮られた。「時代がどうであれ、女の子は自分を大切にしなければならないの。自分を大切にできない人を、誰が愛してくれるというの?」橋本さんのような条件の良い男性でさえ、結婚初夜にはあの数滴の血を気にするものだった。