第259章　何の資格があって

「本当にうまくいくの？」伊藤佳代は期待に胸を膨らませた。

橋本絵里子は笑って言った。「どうしてうまくいかないの？具体的な状況がどうなのか、お母さん、あなたはもう長い間勉強から遠ざかっているし、奈奈のことを心配して少し詳しく調べただけよ。全部奈奈のためを思ってのことでしょう。誰が想像できたでしょう、普通の女の子が高校に入って理系クラスを選んだ後、こんな大きな問題が出てくるなんて。私は文系クラスだったから、こんな状況に遭遇しなかった。お母さんが知らないのも当然よ。私はもう考えついたわ。お母さんと父さんの関係が今良くないから、これを利用して父さんとの関係を改善できるわ。まだ一年あるし、お母さんはこのことだけに専念して、時々父さんに話を持ちかければ、父さんはきっといつか心を開いてくれるわ。父さんはお母さんが騒ぎ立てるのが嫌なんでしょう？奈奈のことを心配するのはいいじゃない？」

今回の橋本東祐が橋本奈奈を連れて直接引っ越してしまった行動は、伊藤佳代を驚かせただけでなく、橋本絵里子をさらに驚かせた。

しかし、一ヶ月の緩衝期間を経て、橋本絵里子の感情はようやく落ち着いてきた。

橋本絵里子は考えた。もし以前のように橋本東祐夫婦の両方の中心でありたいなら、何か方法を考えなければならない。伊藤佳代は問題ではない、問題は父親の橋本東祐だ。

何度かの騒動の結果、橋本絵里子は分かった。離間を図るのは最悪で、最も愚かで、最も下手な方法だということを。結局、離間は成功せず、かえって自分が何度も失敗を重ねることになった。最良の方法は、父に奈奈の堕落と不成功を見せることだ。

奈奈の成績が十分でなく、父を失望させさえすれば、父の耳元で一言も言う必要はない。父は自然と奈奈を見放すだろう。以前のように、最後に勝つのは必ず自分になるはずだ。

橋本家の状況では、一人の大学生しか出せない。絶対に奈奈に自分と競争する機会は与えない。

ここまで考えて、橋本絵里子は笑った。とても冷たい、温もりのない笑みを浮かべた。

母親は利己的だが、父親も母親に比べてそれほど良いわけではない。