「白井照子、私をからかうのはやめてくれない?私が虐められても反撃しない、できない人間だと思ってるの?そう思ってるなら、井上雨子が私のことを話したみたいだけど、まだ足りないみたいね」橋本奈奈は少しも白井照子に怯えていなかった:「白井照子、どう思う?今は私を攻撃するの?それとも私があなたに手を出すの?」
白井照子は唇を噛んだ。橋本奈奈は単なる本の虫ではなく、白洲隆の保証がなければ、ただの柔らかい豆腐だと分かった:「これ、あなたに」白井照子は不本意ながら自分の服から手紙を取り出し、橋本奈奈に渡した。
橋本奈奈は腕を組んだまま、受け取らなかった:「一通だけじゃないみたいね」
「他の二通はあなたが興味ないと思うけど、でもこの一通は...斎藤教官からあなたへのものよ」白井照子は足を踏んだ。なるほど、以前の軍事訓練で斎藤教官が頑なだったのは、彼が橋本奈奈と既に知り合いだったからなのね。
橋本奈奈もひどいわ。なぜ早く教えてくれなかったの。もし早くこの状況を知っていれば、斎藤教官に時間と感情を無駄にすることはなかったのに。
容姿が良くて、将来性のある男性なら誰でも興味があるけど、唯一興味がない種類の男性がいる。それは既に相手のいる男性よ。
白井照子は馬鹿じゃない。特に斎藤昇が最初から最後まで橋本奈奈のコップにしか触れなかった時から、何となく気づいていた。
今日学校に来て、受付から手紙を受け取った時、白井照子は状況を完全に理解した。
「私があなたの言うことを簡単に信じる人間だと思う?」橋本奈奈はまだ受け取らなかった。
手紙は彼女のものだから、どう扱うかは彼女の問題で、白井照子には彼女の代わりに決める資格はない。このことを白井照子にはっきりと分からせなければならない。さもないと、今回は勝手に彼女の手紙を盗んだだけだが、次は何をするか分からない。
これは母親から学んだこと。ある種のことは、一歩も引いてはいけない!
「これが他の二通よ」白井照子は不承不承に手紙を取り出した:「一通目は開けちゃったけど、二通目と三通目は開けてないわ」