橋本奈奈はようやく白井照子の手から三通の手紙を取り戻すことができた。「でも照子、覚えておいてね。今日のことは終わっていないわ。次にこんなことがあったら、警告なしよ。どんな結果になるか、心の準備をしておいた方がいいわね」
そう言うと、橋本奈奈は白井照子を見ることもなく、そのまま教室に戻った。
手元の三通の手紙のうち、斎藤昇のものを除いて、田中勇の二通は実は破り捨てたかった。
しばらく考えた後、橋本奈奈は眉をひそめながら、田中勇の二通の手紙を冷たく扱い、斎藤昇の手紙を開いて読んだ。斎藤昇の手紙の内容はとても簡単で、要約すると一言:早恋禁止。
もし橋本奈奈が早恋したら、部隊から戻ってきたら必ず「お仕置き」するという。
手紙の厳しい口調、真剣な態度、脅すような言葉に、橋本奈奈は唖然とした。白洲隆と一緒にいる時は息子ができたような気分だったのに、斎藤お兄さんの前では、なぜか父親ができたような気分になる。
記憶の中で、これで三人目が高校に入ったら絶対に早恋してはいけないと忠告してきた。この三人はちょうど彼女の「息子」一人と「父親」二人だった。
「何を見てるの?」白洲隆が座る時、少し不機嫌そうな顔をしていた。
「別に何も」橋本奈奈は冷静に手紙を折りたたんで、封筒に戻した。最近、彼女は一体何をしたというのか、この大中小三人の男性たちが、彼女をこんなに信用せず、続けて「親切に」「注意」してくるのか分からなかった。
「本当に何でもないの?誰かが手紙をくれたって聞いたけど、誰?」白洲隆も耳が早かったようで、橋本奈奈が知ったばかりのことを、白洲隆もすでに知っていた。
「誰だと思う?」橋本奈奈は本を開きながら言った。「私がまだ小さいから、恋愛には適していないって言われたの」
「へぇ?」それなら田中勇ではないはずだ。「誰がそんなに賢明で、お前の小さな動きまで先に見抜いて、忠告したんだ。これは良い友達だな、奈奈さん、付き合いを続けた方がいいぞ」
「うるさいわね」橋本奈奈は白洲隆を横目で見て、もう相手にせず、真剣に本を読み始めた。
「戸川先生が来たよ。そういえば、今回の月例テストの成績について聞いた?」
「ううん、何か情報持ってるの?」
「うん、学年一位は私たちのクラスだって聞いたよ」