第262話 偽物のはずが本物の変態

高校は確かに難しくなったが、優等生の成績を維持しようとすれば、学校の点数に対する要求は決して下がることはない。だから、高校に入っても、優秀な生徒の科目の成績は90点を下回ることはなく、彼女のような優等生の中の優等生なら、95点が普通の実力なのだ。

橋本奈奈が実力のない人だと分かっていれば、以前からそんなに重要視する必要はなかった。彼女は橋本奈奈を買いかぶっていたのだ。

白井照子は落ち着いて、自分が間違えた問題だけに集中したが、数学の学級委員は落ち着いていられなかった。90点台のグループに橋本奈奈がいないのは小さな意外だったが、80点台のグループが終わっても橋本奈奈が見当たらないのは大きな意外だった!

手元に残った二枚の答案用紙のうち、上の一枚が70点台だった時、学級委員は言葉を失った。

中学校の首席として、橋本奈奈が一位を取れないのはまだしも、三位にも入れず、十位にも入れないなんて。まさか最下位か下から二番目になるなんて、ありえない!

橋本奈奈が普段教室で勉強している姿を思い出すと、どんなに悪くてもここまで悪くなるはずがない。

学級委員が70点台の答案用紙を配り終え、最後の一枚の成績を見た時、顔が一瞬で青ざめ、唇を噛みしめながら、黙って橋本奈奈の席まで行き、答案用紙を渡した。

「はい、では次に、統計で最も間違いが多かった問題をいくつか解説します。解説が終わったら、まだ分からないところがある人は個別に質問してください。問題がなければ自習です。」戸川先生も余計な話はせず、全員が答案用紙を受け取ったら、すぐに本題に入った。

10分もかからずに、間違いが最も多かった問題を全て解決した:「はい、これで個別の質問がある人は個別に聞きに来てください。みんな静かに勉強するように、他の人の邪魔をしないように。」

白井照子は橋本奈奈の成績が見えなかったが、とても気になった。そこで紙を丸めて、学級委員に投げた。

学級委員の注意を引いた後、白井照子はすぐにトイレに行きたいと戸川先生に伝えた。戸川先生は手を振って、トイレに行きたい生徒は自由に行っていいが、静かにするようにと言った。言い終わるや否や、白井照子と学級委員は立ち上がって、「一緒に」トイレに向かった。

自分の82点の答案用紙を見て、井上雨子は歯を食いしばり、同じく立ち上がって「一緒に」トイレに向かった。