大野麗は彼女を恐れていなかった。井上雨子のような女でさえ彼女の前で横柄な態度を取れるなんて。橋本奈奈には手を出せないかもしれないが、井上雨子なら簡単に対処できる!
「照子、井上雨子の言う通りよ。帰りましょう」大野麗は白井照子の袖を引っ張った。「それに、照子、私の記憶が正しければ、橋本奈奈と同じ寮部屋の他の5人は、今回の試験はみんな悪くなかったわ。唐澤夢子が一番低かったけど、それでも88点だったわ」つまり、河野雲見や三浦玲子たちは、みんな90点以上だったということだ!
くそっ、優等生ばかり集まってるのか?
自分の85点を思い出し、大野麗はまるで噛まずに熱い餡子を丸呑みしたような気分だった。喉に詰まって、飲み込むことも吐き出すこともできず、とても苦しかった。こんな成績で学級委員なんてやってられない。恥ずかしい!
「照子、時間があったら補習してくれない?私の成績、ひどすぎるわ」
「補習...」白井照子は手を振って、補習なんてできないと言おうとした。そんなアメリカの時間なんてない。その時間があるなら、次は100点を取って橋本奈奈に追いつくことを考えた方がいい。
しかし、大野麗がまだ自分に役立つかもしれないと思い、白井照子は怒りを抑えた。「補習は無理よ。あなたがどこでつまずいているのかもわからないし。こうしましょう。前と同じように、わからないところがあったら私に聞きに来て。そうしたら教えてあげるわ。それでいい?」
「そうね」大野麗も自分の要求が無理だということはわかっていた。結局のところ、基礎知識を身につけた後は、ほとんどが自分で応用していくしかないのだから。
「みなさん、休憩時間です。少し体を動かしましょう」白井照子と大野麗が戻ってきたところで、戸川先生は休憩を宣言した。
戸川先生の言葉を聞いて、三浦玲子たちはすぐに橋本奈奈の周りに集まった。「奈奈、ちょっと成績を見せてよ。私たちにいい刺激を与えて、やる気を出させてよ」
「奈奈、前はあなたのおかげで、今回88点も取れたのよ。よかった、これでお尻は安全だわ。もう筍と肉の炒め物は食べなくて済むわ」唐澤夢子は、1組の生徒は本当に変態だと感じていた。高校に入ってもなお、88点が中の上程度の成績というのは、あまりにも落ち込む話だった。