第283章 惨すぎる

「もういいから、私のことを心配しないで。自分の成績のことを気にしなさい」橋本奈奈は鍵を取り戻して言った。「このことは、誰にも言わないでね」

「馬鹿にしないでよ」白洲隆は得意げに足を組んで座った。先ほどあの女たちの前で、奈奈さんがこのことを一切話さなかったことから、奈奈さんの本意が分かった。どうやらあの女たちと奈奈さんの関係はたかが知れているようだ。奈奈さんにはまだ良心があって、誰が自分に一番良くしてくれているか分かっているようだ。

橋本奈奈との秘密を共有できたことで、白洲隆の気分は特別に良かった。足を組んだだけでなく、「ラーラーラー」と小さな歌を口ずさみ始めた。高校1年1組の生徒たちには理解できない様子だった。

橋本奈奈にこんな大きな事件が起きたのに、普段から白洲隆が橋本奈奈をどれほど大切にしているか、まるで自分の子供のように守っているのに。