「あなたがタイムリーにこの資料を届けてくれなかったら、私が橋本奈奈を守りたいと思っても、校長は絶対に同意しなかったでしょう。だから今回の件が解決できたのは、奈奈はあなたにしっかりと感謝すべきですね」
校長から任された任務を無事に完了し、戸川先生は学校に戻ってから、最初にしたことは資料を届けてくれた人に電話をかけることだった。
「え?この件を橋本奈奈に話さないでほしい...ああ、奈奈の気が散るのを心配しているんですね。大丈夫です、奈奈の勉強に影響はないはずです...ああ、わかりました。確かに奈奈の勉強が一番大切ですからね。はい、承知しました。とにかく、奈奈に代わってお礼を申し上げます。いいえ、担任として当然のことです。はい、そうですね。では、これで失礼します」
電話を切ってから、戸川先生は胸をなでおろし、大きくため息をついた。