第288章 警察署には行かない

校長は口の中のお茶を全部吹き出し、信じられないという様子でもう一度尋ねました。「警察署から電話があって、高校2年8組の橋本絵里子に、母親の伊藤佳代を保釈しに来るように言われたって?」

「はい、校長先生。どうしましょうか?」

「どうもこうもない。うちの生徒に何の関係があるというんだ。まだ子供じゃないか。家族が全員死んでしまって、子供一人に母親の保釈をさせるというのか?」

人の不幸を喜んではいけないものです。校長先生は喜んでいられたのはわずか3分で、こんな大きなショックを受けることになりました。

付属高校の生徒は、これまでいい理由でしか警察署に出入りしたことがありません。このような恥ずかしい理由で警察署に出入りすることは、過去にも現在もなく、これからもあってはならないのです!

「でも警察は、橋本絵里子の父親と連絡が取れないと言って...」伊藤佳代には橋本絵里子という娘がいることしか分からず、警察は橋本絵里子以外に誰を探せばいいのでしょうか?

高校2年8組の担任教師が最も頭を悩ませているのは、橋本絵里子がまだ子供だからこそ、保釈は単に行って署名すれば連れて帰れるというものではなく、保証金を払い、一連の面倒な手続きが必要で、これらは子供一人では対処できないということです。

つまり、もし学校が橋本絵里子の父親を見つけられなければ、橋本絵里子が行くことになり、担任の自分もついて行かなければならず、労力も金も使うことになるでしょう。

この状況を考えると、担任は頭が大きくなりそうでした。

彼女は生まれてこのかた、こんな理由で警察署に行ったことはありません。人生で初めての経験が、クラスの成績があまり良くない生徒のためとは。高校2年8組の担任は、橋本絵里子のような生徒を持つことは、八代前からの因果だと感じていました。

高校2年8組の担任がそう言い終わると、電話の向こうから「バン」という音が聞こえました。

ほら、校長先生が怒って電話を投げつけてしまったのです。

伊藤佳代は疫病神のようなもので、彼女に関わる者は皆不幸になるのです。

平泉高校に一人娘がいて、困ったことに、付属高校にも伊藤佳代の娘がいるのです!