第289章 豚のようなチームメイト(加筆)

警察署に座り込んでいると、ようやく怖くなった伊藤佳代は、平泉高校の前での威勢のよさなど微塵も残っておらず、まるで小さな子猫のように大人しく、端に座って一言も発することができなかった。

以前伊藤佳代の恐ろしさを目の当たりにしていたため、警察は彼女を病院に送ることはしなかったものの、常に監視の目を光らせていた。彼女が突然暴れ出して、誰かを傷つけることがないように。

「こんにちは、伊藤佳代の保釈に来ました」瀬野先生は深く息を吸い、笑顔を浮かべながら、丁寧に来意を告げた。

「絵里子!」自分の名前を聞いて顔を上げた伊藤佳代は、愛する娘の橋本絵里子を見つけると、興奮して駆け寄り、強く抱きしめた。「絵里子、やっぱり家族の中で私のことを一番考えてくれているのはあなただけね。あなただけが私のことを母親として思ってくれている。絵里子、あなたの父親がどんなに酷いか分からないでしょう。橋本奈奈のあの生意気な女の子はもっと酷いわ...」

「お母さん!」恥ずかしさのあまり人前に出られないと感じた橋本絵里子は、ずっと伊藤佳代の胸に顔を埋めたまま、警察署の人々に自分の顔を見られないようにしていた。「もういいから、何も言わないで。話があるなら家に帰ってからにして!!!」

警察署でこんなことを言うなんて、本当に恥ずかしい!

警察署の人々は少し驚いた。この精神的に少し不安定な女性はなかなかのものだ。娘は付属高校に通っているとは。それは平泉で最も優秀な高校だ。そういえば、今年の一位の橋本奈奈も、この女性の娘なのだろうか。そうだ、同じ橋本姓だ。

...

こんなに混乱した女性が、二人の賢い娘を産んだとは。この女性は自分の知能をすべて子供たちに与えてしまったのだろうか?

「警察官の方、橋本絵里子は伊藤佳代の娘です。私は橋本絵里子の担任です。手続きについて、ご指示ください」瀬野先生は少し無理な笑顔を浮かべながら言った。できることなら、この息苦しい場所から一刻も早く離れたかった。

「分かりました。こちらへどうぞ」警察官も瀬野先生に難色を示さなかった。付属高校の教師という肩書きは、やはり効果があった。

瀬野先生はバッグを握りしめ、警察官について手続きに向かった。