第307章 二重人格は怖い

「お母さん...」

「母の話はもういいわ。母は今外出してるのよ。お父さん、指折り数えてみて。岡本家の人が来るたびに、母は必ず一日外で過ごすでしょう。お父さん、気づいてないの?実は母は岡本家の人が全然好きじゃないし、特に岡本茜のことが嫌いなのよ」

「これは...でも、お母さんは...お母さんは確かに...」斎藤輝彦は眉をひそめた。野村涼子は本当に岡本茜のことが嫌いなのだろうか?

「...」野村涼子の態度について、斎藤花子はもっと悩んでいた。

娘として、母が岡本茜を全く好きではないし、岡本家の誰一人として好きではないことはとっくに分かっていた。でも、斎藤昇と岡本茜のことについては、母は反対するどころか、誰よりも賛成していた。

これほど長い年月が経っても、斎藤花子には母の本意が分からなかった。