「お父さん!」
「橋本さん」
大野宏が言い終わると、伊藤佳代と橋本絵里子の声が玄関の向こうから聞こえてきた。
大野宏がドアを開けると、橋本東祐と橋本奈奈は喜びに満ちた表情の伊藤佳代と橋本絵里子を見た。「二人ともどうしてここに?」白洲家は奈奈と自分だけを招待したはずじゃなかったのか?
「橋本おじさん、何を言っているんですか。橋本奈奈のおかげで、隆お兄さんがこんなに変わったんですよ。私たち白洲家と橋本家は仲が良いですから、お食事に招待するなら、もちろん家族全員ですよ。伊藤おばさんと橋本絵里子お姉さんが小さな庭にいると知って、ご不便をおかけしないように、直接お二人をお誘いしたんです。奈奈が私たちをたくさん助けてくれたので、白洲家を代表して奈奈にお礼をしなければなりません。そうでしょう?家族全員で久しぶりに集まれると聞いて、私がこんなに親切にしてあげたことに、感動しすぎないでくださいね。これは奈奈への'お返し'です。私は人付き合いで give and take を大切にしているんです。どうですか、嬉しいでしょう?」