第310章 "サプライズ

橋本奈奈と比べると、橋本絵里子は大学まであと一年半、というよりもほぼ一年しか残されていなかった。

橋本絵里子がどの大学に進学するかはまだ決まっておらず、一学期の学費がどこから出るのかも分からない状況だった。

そのため、橋本絵里子の方が橋本奈奈よりもお金が急いで必要だった。橋本奈奈は、このような状況で父親が自分のお金を使って、橋本絵里子の大学進学の問題を解決しようとするのかどうか試してみたかった。

手元のお金を見ながら、橋本東祐は疑わしげに、そして躊躇いがちに考え込んだ。

最後に、橋本東祐は深いため息をつきながら言った。「奈奈、身分証を持って、私と一緒に銀行に行こう。」

「銀行に?なんで身分証が必要なの?」橋本奈奈の表情が少し和らいだ。

「持ってくれば分かるよ。」