橋本家と斎藤家を比べると、その差は僅かなものではなく、まさに天と地ほどの開きがあった。
言い換えれば、橋本奈奈のような女の子は、母親が真っ先に嫁候補のリストから消すタイプだった。
彼女には理解できなかった。21世紀になろうというのに、母の考え方がこんなにも古く、封建的で、まだ門閥にこだわっているなんて。
「万が一もないし、万が一になることもない。」
「どこからそんな自信が出てくるの?」斎藤花子は腕を組んで言った。「結局、奈奈のことを好きなのはあなたで、私じゃないわ。奈奈があなたと一緒になって、母に苦労させられても、その時になって奈奈のことを心配しても、私には何もできないわよ。母の性格はあなたも知ってるでしょう。誰が説得しても無駄なの。この世の中で、母の言うことを聞ける人がいるのかさえ疑問よ。」
「心配しなくていい。」斎藤昇は確信を持って斎藤花子を見つめた。「奈奈のことは、私は一度も心配したことがない。奈奈は本来とても優秀な人だ。母の要求がどんなに厳しくても、私の助けなしでも、奈奈は自分の輝きだけで十分だ。ただ、母の状況については、少し気がかりだ。」
「あなたも気づいたの?」
「当たり前だろ。」
「……」斎藤花子は痒くなった拳を握りしめた。斎藤昇に勝てないことがなければ、とっくにこいつを殴っているところだった。「調べてみる?」
「姉さんが調べて。」
「なんで私なの?バレたら、絶対に私が殴られるわよ!」斎藤花子は同意しなかった。
「だって姉さんは僕より3歳年上で、姉さんは僕の姉で、僕は姉さんの弟だから。」斎藤昇は口角を上げて笑った。その笑顔に斎藤花子は泣きたくなった。
「私という姉は、こういう時だけ役に立つのね。そんな時だけ姉って呼ぶの?」斎藤花子は泣きたい気持ちを抑えた。責任を押し付けられる時だけ姉なんて!
「まあまあ、これくらいでも務まらないなら、本当に泣くことになるぞ。」斎藤昇は斎藤花子の肩を叩いた。「この件は任せたぞ。部隊の面子を潰すなよ。」
斎藤昇の狡猾で厚かましい様子を見て、斎藤花子は半死半生の思いだった。来世では絶対に妹だけが欲しい、こんな嫌な弟なんていらない。
時は常に早く過ぎ去り、瞬く間に消えていく。
時間は、それを十分に活用する人には最大の恩恵を与えるが、その流れる速度は誰のためにも遅くなることはない。