第320章 私はあなたに謝罪します

橋本奈奈だけでなく、白洲隆もその声の主が誰だかわかった。白洲隆は顔をしかめた。「橋本絵里子が何しに来たんだ?」

「わからない」橋本奈奈は首を振った。橋本絵里子が訪ねてきたからには、ドアを開けないわけにはいかない。何より今は冬休みで、家にいないはずがないし、逃げたり不在を装ったりもできない。「お姉ちゃん、どうして...大野宏と一緒に来たの?」

橋本奈奈は橋本絵里子に何しに来たのか聞こうとしたが、橋本絵里子の隣に大野宏を見た途端、何も聞く必要がなくなった。

「そうよ、私は宏と一緒に来たの」橋本絵里子は笑いながらドアを押し開けて中に入った。「宏、早く入って。外は風が強いから、風邪を引かないように。ここを自分の家だと思って、何か必要なものがあったら遠慮なく言ってね」

「...」橋本奈奈は眉をひそめたが、何も言わなかった。