第319章 この理由を受け入れる(加更)

もし同級生という立場でなければ、彼はどんな立場で斎藤昇に感謝し、ついでに斎藤昇と奈奈さんの距離を引き離すことができるだろうか?

すぐには理解できない白洲隆は焦りだし、何かを確認したいような、何かを言いたいような様子だったが、喉まで出かかった言葉がどうしても出てこなかった。

「ふむ?」白洲隆が黙っていると、斎藤昇は軽くも重くもなく、急がずゆっくりと、まるで墨を含んだ筆が紙の上に軽く点を打つように、しかし決定的な効果をもたらす軽い問いかけをした。その問いかけに白洲隆は動揺を隠せなかった。

「僕は、僕は兄としての立場だ!そうだ、君は知らないだろうけど、僕は奈奈さんより一つ年上なんだ。奈奈さんは早く入学したから、同じ学年だけど年は僕より下なんだ。僕はずっと奈奈さんを妹のように見てきた、僕が彼女を守るんだ。もちろん、君は奈奈さんに良くしてくれているから、兄として、彼女に代わって君にお礼を言わなければならない。」そう、そういうことだ。