第322章 私こそがベテランドライバー

今日ここで斎藤昇に会うことになるとわかっていたら、死んでも来なかっただろう。

「大野君、私と少し話をしないか?」お茶を置きながら、斎藤昇は大野宏をじっと見つめた。

斎藤昇が正義感あふれる凛とした雰囲気を持っているとすれば、大野宏は確かに陰湿な小人物だった。小人が最も恐れるのは、斎藤昇のような正義感に満ちた軍人だ。少なくとも大野宏は斎藤昇と向き合う時、どうしても隠しきれない後ろめたさと暗さを感じていた。

「い、いいえ、結構です。私は兄を探しに来ただけですから!」斎藤昇に「話をしよう」と言われた途端、大野宏は慌てて断った。「兄さん、部隊が好きなんでしょう?斎藤お兄さんに聞きたいことはないの?部隊のことなら、斎藤お兄さんは詳しいし、叔父さんより知っているかもしれないよ。」