最後に誰が誰を補ったのかは、人それぞれの見方があるだろう。
「ふん」橋本奈奈は必死に年配の顔を保とうとした。「当然よ。優等生として、あらゆる知識を少しは知っておかないとね。もしかしたら、大学入試に出るかもしれないでしょう?」
優等生という言葉に、橋本奈奈は目を輝かせ、アイデアが浮かんだ。「ねえ、大野宏と橋本絵里子は教科書も宿題も持ってきてないでしょう?おしゃべりだけじゃつまらないから、こうしましょう。お互いに質問し合って、難しい知識を出題して、点数をつけるの。答えられた人は1点獲得、誰も答えられなかったら出題者が得点。最後に一番点数が高かった人に、みんなでお金を出し合って、いいノートをプレゼントするってどう?」
橋本絵里子と大野宏は彼女と白洲隆の勉強の邪魔をしに来ただけだった。
いい策があれば、対策もある。
橋本奈奈は、40代の「おばさん」が20歳にも満たない子供たちに負けるはずがないと確信していた。
「いいアイデアですね」斎藤昇は賛同した。
「私はどっちでもいい」大野宏と橋本絵里子とくだらない話をするよりはマシだ。
「...まあいいか」大野宏は不機嫌そうに口角を引き攣らせた。どうしてもというなら、手加減するしかない。
「...」他の人たちが全員同意したので、橋本絵里子も興味がないとは言い出せなかった。彼女は答えられないに決まっているし、たとえ全問正解したとしても、集めたお金は少ないし、ノートなんて賞品に興味なんてない。もし集めたお金でブレスレットやネックレス、イヤリングなどを買うのなら、もう少し興味が湧くのだけど。
一対四で、橋本絵里子の不満は無視された。
ゲームが始まると、とても面白い展開になった。
斎藤昇は最年長で、学歴も一番高く、知識も当然一番豊富だった。橋本絵里子、白洲隆、橋本奈奈は高校生で、大野宏だけが中学3年生だった。
斎藤昇と橋本奈奈は息がぴったりで、出題する問題は全て高校の内容だった。橋本絵里子は白洲隆や橋本奈奈より一学年上だったが、斎藤昇の質問に対して、知らないか、知っていても白洲隆に先を越されてしまった。
橋本奈奈はこれらの問題に答えるのは簡単だったが、毎回手加減して、チャンスを白洲隆に譲った。