第330章 どこが合わないのか、話し合って解決しよう

「結婚」という言葉を聞いて、橋本奈奈は呆然としてしまった。「斎藤お兄さん、あ、あなた、何かショックを受けたんじゃない?」

「私があなたと結婚したいと思っているのを信じられないの?」

もちろん信じられない!

橋本奈奈の心の中の小人が叫んでいた。斎藤お兄さんは未来の司令官で、前途は洋々としていて、今の斎藤おじさんよりもっと凄い人になるはず。前世で、斎藤お兄さんは結婚していたはずで、しかも釣り合いの取れた家柄の娘と結婚したはずだった。

私には何もない。何一つない。

斎藤お兄さんが助けてくれなかったら、自分一人の努力だけでは、前世よりもそれほど良い生活が送れたかどうかも分からない。

私は一番の美人でもないし、頭も一番良いわけでもない。人当たりも良くないし、男性の心をつかむこともできない。斎藤お兄さんが私に好感を持ってくれただけでも、私の人徳が爆発的に良かったからだ。今、斎藤お兄さんが私のことを好きだと言うだけでなく、結婚までしたいと言うなんて、橋本奈奈は、斎藤昇が今日きっと何かショックを受けて、こんな狂った話をしているのだと思った。