第328章 肺を刺し心を突く

「絵里子、来て手伝ってくれない?」

「はい」橋本絵里子は深いため息をつきながら、橋本奈奈とずっと口論を交わしていたことで半死半生の状態だった。しかも、彼女が聞きたかった本当の話は一言も聞けなかった。

突然、橋本絵里子は予感がした。これから一年は決して順調には過ごせないだろう、たくさんの面倒事が待ち受けているに違いない。

「この前はあなたがいい助言をしてくれたのに、今日はなぜ馬鹿なことをして、あの子と喧嘩したの?あの子が橋本さんに可愛がられているから、今は気が強くなっているのを知っているでしょう。今日は大晦日なのよ。お父さんの機嫌を損ねて、この食事台無しにしないで」部屋に入るなり、伊藤佳代は橋本絵里子を叱り始めた。

以前は家の仕事を全部橋本奈奈がやっていて、自分は足を組んで食事を待っているだけだったのに、今は状況が逆転し、仕事をしても母に叱られる。橋本絵里子の気分は更に悪くなった。「お母さん、そんな言い方は酷すぎるわ。私が教えた通りにやって、間違えるわけないでしょう?奈奈が意地悪して私たちに逆らおうとして、私たちを敵だと言い切って、一生仲良くできないって言ったのよ。私が怒るのも当然でしょう。私が喧嘩を売ったの?彼女が喧嘩を売ってこなければ、それだけでも感謝するわ!」

「本当にそんなことを?」伊藤佳代の声が厳しくなった。あの子は本当に天下を取ったと思っているのか!

「嘘をつく必要なんてないでしょう。私が奈奈にどれだけ腹を立てているか見てわかるでしょう」瓜子を掴みながら、橋本絵里子は自分が出した瓜子を橋本奈奈に食べさせたくなかった。「お母さん、これからは奈奈のことは関わらないわ。関われないし、自分が怒り死にするのは嫌だもの。奈奈は家を離れて半年で、すっかり傲慢になって、私たちのことなんて全く眼中にないわ」

橋本奈奈は本当に以前とは違っていた。羽が強くなっただけでなく、この家から飛び立ってからは、もう彼女をコントロールできなくなっていた。

橋本奈奈が今日このタイミングでそんなことを言うのは、彼女との境界線を引こうとする意味だった。

「あの子ったら...」伊藤佳代は橋本絵里子の話を聞くだけでも腹が立った。