第336章 あなたの好みと私たちの好みはどちらが大切なのか

彼と岡本茜のことについては、まず家庭内の矛盾を解決し、一致団結すれば、岡本家も何も言えなくなるだろう。

「花子、私の部屋に来なさい。話があるの」家族で朝の元宵を食べ終わった後、野村涼子は家政婦に食卓の片付けを任せ、斎藤花子を部屋に連れて行った。「聞きたいことがあるの。正直に答えてね」

斎藤昇は居心地悪そうにお母さんと距離を取った。「お母さん、何か言いたいことがあるなら、はっきり言ってよ」

「昇は好きな女の子がいるの?昇は毎日部隊にいるから、女の子と接する機会なんてないはずよね?もしかして部隊の女性兵士?誰か知ってる?」

斎藤輝彦は気付かなかったが、母親の野村涼子が息子の口調から何かを感じ取れないはずがない。

以前は息子と岡本茜の件を持ち出しても、息子は反応どころか表情すら変えなかった。まるで岡本茜と結婚する当事者が自分ではないかのように。でも今日は反応があった!

息子に何かあるに違いない、野村涼子は母親としてそう信じずにはいられなかった。

「その子の家庭環境はどうなの?普通の家庭なら、どうして娘を部隊に送って苦労させるの?もしかして家庭の事情があるの?」もしそうなら、何か対策を考えなければ。

「お母さん、何を言ってるの」斎藤花子は顔をしかめた。「私だって女性自衛官よ。私たちの家庭が良くないっていうの?それに昇が好きならその人の条件なんて関係ないでしょう?お母さん、そんなこと言って...」恥ずかしくないの?

斎藤花子には理解できなかった。母も出自は良くなく、貧しい親戚が大勢いて、しかもみんな面倒な人ばかりだった。

母は人を見下すとき、自分のことを考えないのだろうか?

時々、斎藤花子は思わずこう考えてしまう。両親の関係が冷めているのは、母が父を気にかけるばかりで、父は母をほとんど気にかけないのは、母のこういう性格が原因なのではないかと。

とにかく斎藤花子にとって、母はすべてにおいて素晴らしかったが、この一点だけは受け入れられなかった。

「あなたにはわからないわ」野村涼子は表情を変え、明らかに斎藤花子の言葉の裏の意味を理解していた。「覚えておきなさい。私がこうするのは、あなたと昇のためよ。あなたたちはまだ若すぎて、どんな選択が最善なのかわからないの。母親として心配なのよ」