そう言うと、橋本東祐が断る暇もなく、橋本奈奈はご飯を二杯よそって、一人一杯ずつ配った。
橋本東祐は笑いながらご飯を受け取った。「奈奈、早く座って食べなさい。これ以上待つと料理が冷めちゃうよ。体に良くないから、たくさん食べなさい。これ全部お前の好物だからね。」
橋本東祐がそう言うと、橋本絵里子はこれらの料理が確かに橋本奈奈の好みのものだと気づいた。自分はただ嫌いではないだけだった。
橋本絵里子は口の端を歪めた。本当に作り過ぎだ。橋本奈奈はこんなに気持ち悪いことをやめられないのか。わざと彼女の前でパパに優しくして、まるで橋本奈奈がパパを大切にしていて、彼女がパパのことを気にしていないかのように振る舞って。
橋本奈奈がどれだけ演技しても無駄だ。本当に何かあったとき、パパが最初に思い浮かべる娘は彼女であって橋本奈奈ではない。こんなことをしても彼女からパパを奪えると思っているのか。ふん、無駄な努力だ!