第395章 一家に娘あれば百家が求む

「私に関係があるの?吉田おじさんは私のことで何を話したの?」橋本奈奈は眉を上げた。普段通りなのに、なぜ父が吉田おじさんと自分のことを話すのだろう?

「ハハハ……」橋本東祐は太ももを叩いて笑った。「吉田おじさんには息子がいるだろう。この前、うちに引っ越しの手伝いに来た時、お前のことを気に入ってな。今日やっと話してくれたんだが、あの時、お前を息子の嫁にしようと考えていたらしいぞ!」

娘を持つ家には、求婚者が百軒と言うが。

橋本東祐は橋本奈奈を通じて、この言葉の本当の意味を知ることになった。

以前は手塚家、今度は同僚。「求められる」側として、橋本東祐は心の中で爽快感に浸っていた。

「……」こんなことで、父はこんなに喜んでいるのか。

橋本東祐は水を一口飲んだ。「でも吉田おじさんはすぐに諦めたよ。早く孫を抱きたがっていて、そんなに長く待てないからな。彼の今の嫁は、私も会ったことがあるが、お前と比べれば雲泥の差だけど、他の人と比べれば悪くない方だ。」