「彼女たちはそういう頑固で融通の利かないタイプなのよ。まだ大野宏に大きな痛い目を見ていないから、今説得しても無駄なの。きっと大野宏につまずいた時でさえ、私の言うことを理解できないかもしれない。人は転ばなければ大きくならないし、これからの道もより確実に歩めるようになる。お姉ちゃんはね、転んだことがないの。ずっとお母さんと私に支えられて歩いてきた。挫折を味わう時期なのよ。人生があまりにも順調すぎるのは、必ずしも良いことじゃないわ」
橋本東祐は橋本絵里子のことを再び話題にした時、本当に落ち着いた口調になり、全体的に冷静になっていた。「奈奈、あなたの言う通りよ。あなたは単にお姉ちゃんの妹で、彼女に借りがあるわけじゃない。彼女の人生のために自分を犠牲にする必要はないわ。でも私はあなたとは違う。私は彼女の父親だから、たとえ世界中の人が彼女を見捨てても、私にはそれはできない。お姉ちゃんは今、大きな野心を持っていて、私にはコントロールできない。父親として、私にできることは、いつか彼女が失敗して、みんなが彼女を見捨てた時に、できる限り助けてあげることだけだ」