唐澤夢子の白い顔が一瞬で紫赤色に変わり、とても怖い様子だった。
「ゆっくり、ゆっくり」戸村琴は唐澤夢子に驚かされ、急いで背中をさすって呼吸を整えさせた。「もう三歳の子供じゃないんだから、水を飲んで むせるなんて、死なないでよ」
「全部奈奈のせいよ!」やっと息ができるようになった唐澤夢子の顔から、紫赤色が少しずつ消えていった。「奈奈が今言ったことがなければ、こんなことにならなかったのに」
まったく、彼女は本当に奈奈に参ってしまった。この世界中で、二人目のこんな奈奈を見つけることは絶対に不可能だろう、本当に凄すぎる。
先週、奈奈があんなに難しい問題を出して、高校3年生の理系クラスの優秀な生徒さえも困らせたのを見て、奈奈は解けない難問を持ち出して、わざと先輩を困らせているのだと思っていた。